交渉の心理学 ①

動物にも人間にも、特定の入力に対する固有の行動パターンを持っています。人間は動物よりは脳みそが大きいためその一連の固有の行動パターンが少々複雑なだけなのです。
さて、今回は人間にどのような入力をすれば交渉に使えるようなテクニックになるのでしょう。
1.価格は大きいものを先に見せよ!
視角のコントラクトとは、たとえばはじめにかなり高めの商品を見せられた人は次にそれより安いものを見せられると、普段よりその商品が安く感じてしまいます
このことは、ほかにも使えます。
無能な人を見た後なら誰だって優秀そうな人間に見せますし、あまりいけてない人を見た後なら誰だってかっこよく見えるでしょう。
結局人は何かと比較することで、そのものの価値が理解できるのです。
偶然入った高級そうな宝石店で、あなたは安いからと言って1000円のパワーストーンを買わされるかもしれません。
ですから、はじめに値段交渉を行うときには、はじめに割りと高いプランがあるんですよーと軽く紹介した後に本命を見せるのがいいわけですね。
また、合コンのときとかでは女子が自分よりかわいくない女子を連れてくるのは、自分の相対的な価値をあげさせる意味があるのかもしれませんね。


2.返報性をうまく利用せよ!
人に何かを与えると相手まず与えると相手は自分に何か貢献してくれるよーという心理的な特徴を返報性といいます。
たとえば、何かいいことをされたあとに何かのお返しをしないと罪悪感を感じないですか?
つまり、相手に何かを先にすることによって相手に罪悪感を植え付けてそれから、何かお願いごとをすると成功率が上昇するよーということですね。
たとえば、ビジネスの正解ですと試供品のおかげで商品の売れ行きが向上するのです。一度使ってみてよかったから、その商品を買おうと思ったというのもあると思うのですが、ただで何かを使う罪悪感がはやり大きいのだと思われます。実際にアムウェイなどネットワークビジネスではこのような試供品が非常によく使われている戦法ですよね。


ですけど、まず相手に何かをまず与えなければいけないなんで、大変ですよね。初対面の人にアメでも渡してから交渉にいたればいいのでしょうか?
実際にウェイターなどはお会計のときにアメを二つほどつけるだけで、相手のチップが14%上がるという研究もありますが、もっと手軽に使いたいですよね。


もっと簡単な相手の罪悪感に訴えて交渉を有利にさせる方法として、はじめに相手にきつめの条件を吹っかけてから、こちらが譲歩をして条件を下げるという方法もあります。
つまり、相手が譲歩した(相手にちょっと悪いと感じる)その後に相手の軽い条件には乗ってあげてもいいかもと思えるようになるのです。しかし、ここで肝になるのは最初の条件が高すぎると相手はこちらに常識がないと判断して評価が下がってしまいますのでいけるぎいぎりのラインまで攻めるのが大事になると思います。また、ここでは知覚のコントラクトも効いてくるのでさらに相乗効果を期待できます。
実際に行われた実験では、
「恵まれない子供たちのために一日だけボランティアで働いてください。」
と学生に言った場合,17%だけがいいよと言ってくれました。
それでは、辺報性を生かした質問をした場合
「恵まれない子供のために一ヶ月だけ無償でボランティアをしませんか?」
と聞いたあとに、
「恵まれない子供たちのために一日だけボランティアで働いてください。」
と聞くと50%の人々がオッケーと言ってくれたのです!ですから、比率で言うと約三倍近くに膨れ上がったというわけですね。


3.一貫性に働きかける
人は一度自分の決めたことを変えること苦手だという傾向があります。自分が苦労して決める、他人に自分の決定を公表するなどをしてしまうと自分の発言に取れわれて一貫性のある行動をするのです。もっとも、一貫性のある行動は悪いことではありません。一貫性があるとは誠実だとみなされて社会的は好ましい性質だと認識されるのです。
ただ、一貫性が強すぎると他人に利用されて結果的には自分の利益を失うことが大いにありえるのです


大事なことは、相手に次の四つのことをさせることです。
1.公の場でやらせたい行動に関する発言をさせる。
2.その行動は自分の意思によってさせることと。
3.何か努力を要すること
4.その人物に行動をさせることです。


つまり、何が言いたいかといいますと。
私たちは自分の性格をどのように決めているかといいますと、実は自分の行動を自分で観察して決めているのです
自分が今日人に親切にしたということをした人は、自分のことを親切な人間だと認識するでしょうし、何か悪いことをした人は自分の性格は悪いやつだと認識するでしょう。
つまり、先に行動があってその後に自分が何が好きなのかということを認識するのです


ですから、ナンパのときにこのようなテクニックが使われています。
「こんにちは! xxです。ところで、おいしいスイ―ツ食べたくないですか?」
「はい! 食べたいです!」
「それじゃあ、一緒にあそこのお店行きましょう!」
食べたいといった人は自分はこの人と一緒にスイーツを食べたいと考えているんだなと、自分の感情をかえてしまうのです。


ほかにも、アメリカの車のディーラーが使うテクニックとして、はじめに市場価格より明らかに安い値段の車を表示し、顧客に買うかどうかの意思を問います。
顧客は安い値段なので、ラッキーと感じてその車を買うことを決めます。
それから、さまざまなオプションをなどをつけおえて契約書に名前を書かせる段階で、「さっきの値段表示間違いでした。もう少し高い値段でした、やっぱり今回の契約はやめときますか?」と顧客に聞くのです。
するとどうでしょう、顧客は車を買わない選択ができるのにも関わらず、契約をやめる人は非常に少ないんだそうです。
これは、一度自分が買うと発言したせいで、私はその車がほしいのだと誤認してしまったことから生じる現象なのです。


ほかにも、この一貫性の原理は相手に組織への帰属意識を高めさせるときにも使えます。
アフリカなどの部族の成人になる男性は、厳しい儀式を行うのパターンが非常に多いです。しかも、驚くことに厳しい儀式を行う部族ほど、組織への帰属意識や満足度が非常に高くなるという研究結果もでています。ほかに、会社や学校など、その組織に入るのが困難だった人ほどその組織に対する満足度が向上するのです。
これは、自分は厳しい試練を受けたのだからこの組織はそれに合うものなのだと、認識することでその組織の満足度が向上するのです。


ほかにも、恋愛で言いますと、相手の目を二分以上見るとお互いの好感度が上昇するとかあります。目をそんなに長く見つめたのだから相手のことが好きなのだと感じがいするのです。




影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか
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誠信書房