交渉の心理学 ②

交渉する際に、交渉のプロたちはどのようにして、相手を説得させるのかについて、心理学てきにまとめた有名な本の中から抜粋した内容になっております。

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか
影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか
誠信書房


前回は、知覚のコントラクト、一貫性、辺報性についてのテクニックを紹介しました。
今回は、社会的証明について述べて生きたいと思います。


社会的証明
社会的証明とは、他人がやっているのだからそれは正しい行為だと認識することを意味しています。


「近所のAさんが車を買っててさ! ほかにもBさんもCさんも! あなた、私たちもそろそろ買った方がいいわよ!」
簡単に言うと上で書いたように、身近な誰かがそれをやると、人はその行動をしないことに不安を感じてしまうことから生じます。


この集団的心理は、次のような悲しい事件にもつながる可能性があります。
ほかにも、次のような事件をあなたはご存知でしょうか?
アメリカの都会でミス・ジェノヴィースとい女性が刺殺されました。
しかも、その女性が殺されたのは住宅街の道路で、30分以上犯人に追い回され最後に命を落としたのです。


ここで、ひとつの疑問が生じます。事件は住宅街で起きたのですから、30分間の間に誰も警察に報告しなかったのは、非常に奇妙な話しです。
その事件の目撃者から意見を聞くとなんとその現場を目撃した人は37人以上に上ったのです。
それらの人々はなぜ事件を目撃したのにも関わらず警察に知らせなかったのでしょうか?彼らの性格が残忍だったからでしょうか?


違います。彼らはほかの多くも見ているから誰かが連絡するだろうと思ってだれも警察に知らせなかったのです。


このように、他人がやるだろうと考えてしまう傾向にどうしても人は持っているものです。


また、ある心理実験では集団になにか行動を行うとき、集団の大きさが大きいほど個人単位で言うと生産性が下がる傾向にあるのです。
これも前回の例で述べたように、誰かが行くだろうと考えた結果手を抜く人が続出したのが原因です。
この現象をcといいます



これらの心理が働きやすい状況に二つの特徴があります。
1.状況に対する情報を少ないとき、不安なとき
2.ほかの人々が自分と似ているとき



状況に対する情報が少ないとき、みんながやる行動に人は従う傾向にあります。自分で判断できるほどの情報がないため、周りとあわせることが一番心地よい行動になってしまうのです。
先ほどの事件でも、路上で実際に何が起きているのか正確な情報を得るのは非常に難しいと考えられます。
ただの酒飲みが叫んでいるだけかも、しれませんし痴話げんかなのかもしれません。
このような状況では、周りの行為に合わせることをする可能性が高くなるのです。



人は、自分に似た人間の行動を真似る傾向があります。
子供に何かいい行動を指導するときには、大人がそれをやるのを子供に見せるよりも、同世代の子供がいい行動をするのを見せるほうが真似をする可能性が高いことがわかっています。



この心理を交渉のとき生かすとき、営業マンなどは
「近所の人たちで誰さんと誰さんはこれを買いましたよ」
と言うだけで相手がその商品を買う可能性が高くなります。



ほかにも、自分のお店にお客さんを呼びたいなら、自分の店の駐車場にあえて従業員の車を置かせることでお客さんいるアピールをする。
開店時間をあえて遅らせて渋滞を作らせる。
CMを作るときには、ターゲットになりそうな一般人っぽい人をCMに出させる。
などのテクニックが有効になります。


実際に私が昔アルバイトでやっていたのですが、住宅説明会でただ営業の人と雑談をするというアルバイトがありました。サクラを呼ぶことによって社会的証明を行ったのですね。


このようにして、みんながやっているからそれは正しいことだと感じてしまいがちになってしまうのですね。

交渉の心理学 ①

動物にも人間にも、特定の入力に対する固有の行動パターンを持っています。人間は動物よりは脳みそが大きいためその一連の固有の行動パターンが少々複雑なだけなのです。
さて、今回は人間にどのような入力をすれば交渉に使えるようなテクニックになるのでしょう。
1.価格は大きいものを先に見せよ!
視角のコントラクトとは、たとえばはじめにかなり高めの商品を見せられた人は次にそれより安いものを見せられると、普段よりその商品が安く感じてしまいます
このことは、ほかにも使えます。
無能な人を見た後なら誰だって優秀そうな人間に見せますし、あまりいけてない人を見た後なら誰だってかっこよく見えるでしょう。
結局人は何かと比較することで、そのものの価値が理解できるのです。
偶然入った高級そうな宝石店で、あなたは安いからと言って1000円のパワーストーンを買わされるかもしれません。
ですから、はじめに値段交渉を行うときには、はじめに割りと高いプランがあるんですよーと軽く紹介した後に本命を見せるのがいいわけですね。
また、合コンのときとかでは女子が自分よりかわいくない女子を連れてくるのは、自分の相対的な価値をあげさせる意味があるのかもしれませんね。


2.返報性をうまく利用せよ!
人に何かを与えると相手まず与えると相手は自分に何か貢献してくれるよーという心理的な特徴を返報性といいます。
たとえば、何かいいことをされたあとに何かのお返しをしないと罪悪感を感じないですか?
つまり、相手に何かを先にすることによって相手に罪悪感を植え付けてそれから、何かお願いごとをすると成功率が上昇するよーということですね。
たとえば、ビジネスの正解ですと試供品のおかげで商品の売れ行きが向上するのです。一度使ってみてよかったから、その商品を買おうと思ったというのもあると思うのですが、ただで何かを使う罪悪感がはやり大きいのだと思われます。実際にアムウェイなどネットワークビジネスではこのような試供品が非常によく使われている戦法ですよね。


ですけど、まず相手に何かをまず与えなければいけないなんで、大変ですよね。初対面の人にアメでも渡してから交渉にいたればいいのでしょうか?
実際にウェイターなどはお会計のときにアメを二つほどつけるだけで、相手のチップが14%上がるという研究もありますが、もっと手軽に使いたいですよね。


もっと簡単な相手の罪悪感に訴えて交渉を有利にさせる方法として、はじめに相手にきつめの条件を吹っかけてから、こちらが譲歩をして条件を下げるという方法もあります。
つまり、相手が譲歩した(相手にちょっと悪いと感じる)その後に相手の軽い条件には乗ってあげてもいいかもと思えるようになるのです。しかし、ここで肝になるのは最初の条件が高すぎると相手はこちらに常識がないと判断して評価が下がってしまいますのでいけるぎいぎりのラインまで攻めるのが大事になると思います。また、ここでは知覚のコントラクトも効いてくるのでさらに相乗効果を期待できます。
実際に行われた実験では、
「恵まれない子供たちのために一日だけボランティアで働いてください。」
と学生に言った場合,17%だけがいいよと言ってくれました。
それでは、辺報性を生かした質問をした場合
「恵まれない子供のために一ヶ月だけ無償でボランティアをしませんか?」
と聞いたあとに、
「恵まれない子供たちのために一日だけボランティアで働いてください。」
と聞くと50%の人々がオッケーと言ってくれたのです!ですから、比率で言うと約三倍近くに膨れ上がったというわけですね。


3.一貫性に働きかける
人は一度自分の決めたことを変えること苦手だという傾向があります。自分が苦労して決める、他人に自分の決定を公表するなどをしてしまうと自分の発言に取れわれて一貫性のある行動をするのです。もっとも、一貫性のある行動は悪いことではありません。一貫性があるとは誠実だとみなされて社会的は好ましい性質だと認識されるのです。
ただ、一貫性が強すぎると他人に利用されて結果的には自分の利益を失うことが大いにありえるのです


大事なことは、相手に次の四つのことをさせることです。
1.公の場でやらせたい行動に関する発言をさせる。
2.その行動は自分の意思によってさせることと。
3.何か努力を要すること
4.その人物に行動をさせることです。


つまり、何が言いたいかといいますと。
私たちは自分の性格をどのように決めているかといいますと、実は自分の行動を自分で観察して決めているのです
自分が今日人に親切にしたということをした人は、自分のことを親切な人間だと認識するでしょうし、何か悪いことをした人は自分の性格は悪いやつだと認識するでしょう。
つまり、先に行動があってその後に自分が何が好きなのかということを認識するのです


ですから、ナンパのときにこのようなテクニックが使われています。
「こんにちは! xxです。ところで、おいしいスイ―ツ食べたくないですか?」
「はい! 食べたいです!」
「それじゃあ、一緒にあそこのお店行きましょう!」
食べたいといった人は自分はこの人と一緒にスイーツを食べたいと考えているんだなと、自分の感情をかえてしまうのです。


ほかにも、アメリカの車のディーラーが使うテクニックとして、はじめに市場価格より明らかに安い値段の車を表示し、顧客に買うかどうかの意思を問います。
顧客は安い値段なので、ラッキーと感じてその車を買うことを決めます。
それから、さまざまなオプションをなどをつけおえて契約書に名前を書かせる段階で、「さっきの値段表示間違いでした。もう少し高い値段でした、やっぱり今回の契約はやめときますか?」と顧客に聞くのです。
するとどうでしょう、顧客は車を買わない選択ができるのにも関わらず、契約をやめる人は非常に少ないんだそうです。
これは、一度自分が買うと発言したせいで、私はその車がほしいのだと誤認してしまったことから生じる現象なのです。


ほかにも、この一貫性の原理は相手に組織への帰属意識を高めさせるときにも使えます。
アフリカなどの部族の成人になる男性は、厳しい儀式を行うのパターンが非常に多いです。しかも、驚くことに厳しい儀式を行う部族ほど、組織への帰属意識や満足度が非常に高くなるという研究結果もでています。ほかに、会社や学校など、その組織に入るのが困難だった人ほどその組織に対する満足度が向上するのです。
これは、自分は厳しい試練を受けたのだからこの組織はそれに合うものなのだと、認識することでその組織の満足度が向上するのです。


ほかにも、恋愛で言いますと、相手の目を二分以上見るとお互いの好感度が上昇するとかあります。目をそんなに長く見つめたのだから相手のことが好きなのだと感じがいするのです。




影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか
影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか
誠信書房

論理学

論理学には、命題論理学や三段論法などが含まれます。
三段論法
ソクラテススの時代に議論があまり形式的な形で行われないため、何かの枠にはめる必要がありました。そこで生まれたのが三段論法です。
三段論法とは、
すべての人間はすべて死ぬ
ソクラテスは人間である
よってソクラテスはいつか死ぬ
みたいなやつですね。
これらの議論の妥当性を調べるために使われました。
すべての人間は死なない。
ソクラテスは人間である。
よって、ソクラテスは死なない。


これは明らかに間違った論理ですよね。
なぜかというと、前提となるすべての人間は死なないがそもそも間違っているからですね。このようにして、大本の理論が間違っているかどうかを、結論が妥当かどうかを考えることで検証できたのですね。


ほかにも
一部の貧乏人は不正直だ
生活保護の人の一部は貧乏だ
よって生活保護の人は不正直だ
これは明らかに間違いですよね。


貧乏の一部(部分集合)の人々が不正直で、
生活保護の人の一部(部分集合)が不正直だからと言って結論にならないことは明確ですよね。


実は三段論法は非常に言葉にするとややこしいですが、ベン図にすると非常にわかりやすくなります。ベン図とは下の図形のようなものですね。

上のようなものですと。
人間は二つ目がある。
人間は哺乳類だ
ゆえに、二つ目があるものは哺乳類だ
明らかに間違いですよね。
なぜなら、哺乳類(Aの集合体)の一部の人間であり、目が二つある(Bの集合)の一部が人間なのであってB>Aとはるのは明らかに上の図からおかしいことがわかると思います。
三段論法なんだか、非常に使いにくいですよね。。
そこで、命題論理学というものがうまれました。


命題論理学
命題論理学はもしも(if),ではない(not),もしくわ(or)などの演算子を論理に入れることによってさらに日常生活で使えるようになったものです。
たとえば、
「もしも、彼が20以上ではないなら、お酒は飲んではいけない」
これらの文章を抽象化すると
「if A not= B: C」
みたいな感じになります。
なんだか難しいことを言っているように聞こえるかもしれませんが、これは私たちが日常生活で自然と行っていることなのです。
「もしも今日、電車で移動してそして雨が降りそうなら、傘を持っていかなければならない。」


これらの理論は、私たちは命題論理学として認識しなくても、理解することができますよね。
なぜならば、私たちはこれらの理論を実用的推論のスキーマとして、捕らえることができるからです。
世の中の知識といわれるものは、実用的推論のスキーマとして捕らえることが可能です。
「もしも、データに相関関係があるからといって、必ず因果関係があるわけではない。」
「私は他人の性格を推定するときに、あまりにも少ない経験から推測する傾向がある。」
などです。
ただし、この実用的推論のスキーマは誤っていることが多々あるので、それを論理によって修正していくことが非常に重要になります。
なにか論理を学ぶことによって、その論理を日常生活の一場面に適用できるようになることで、人は賢くなれるのですね。