科学的に問題解決能力を向上させる方法 ③

世界で最も美しい問題解決法 ―賢く生きるための行動経済学、正しく判断するための統計学―
世界で最も美しい問題解決法 ―賢く生きるための行動経済学、正しく判断するための統計学―
青土社

前回は経済学へんを行いましたが、今回は統計学へんをやりたいと考えております。
統計学がどのようなときに使えるのかといいます、問題のデータ化のときに非常に使える学問でして、そのなかでも最も問題解決方法で活用できる知識を紹介して行きたいと思います。
統計学はそもそも様々なところで使われているけど・・・
専門家といわれる方々は統計学を学ぶ方は非常に多いと思います。医者、社会科学者、自分科学者、ビジネスマンなどなど。
しかし、これらのかたがたは統計学を勉強しているにも関わらず専門分野以外での日常生活で統計学を活用する方が少ないといいます。では、どのような人々は統計学の知識を日常の問題解決に活用できるのでしょうか?
それは、学問の分野が自然科学、社会科学などのソフトな分野の人々です。逆に物理学、生物学などのハードな分野の人々は自分の日常生活に統計学を活用できなかったそうです。つまり、日常で頻繁に使われる学問のほうが統計学の知識を日常生活で活用できる可能性が高くなるとういことですね。これから得られる教訓は何かの知識を誰かに教えるときは具体的にどのシチュエーションでそれが使えるか示してあげないと、その知識は使えなくなる可能性が高いということですね。
ですから、次からは日常生活でどのようなデータ化の間違いがあるのか、そしてどのように改善すればいいのかについて述べていきます。
そもそも、それは母集団からランダムに選んだサンプルなのか?
統計学の世界では、引き起こる現象を事象といいます。また、事象が起こるデータの数を母集団といいます。
たとえば、IQの話をします。日本全体の学生を母集団としてときに、その母集団のすべての人々のIQを測定するのは非常に難しくなります。ですから、ランダムにその中から学校を選択して、その人々にIQテストを受けさせたとします。これが母集団からランダムにサンプルを取るといいます。このように、大きすぎる集団においてデータを取る場合はデータの種類にかたよりのないような、サンプルをランダムに選ぶことによって計算とか調査を楽にすることができます。
しかし、この母集団からランダムにサンプルを取得するのは非常に難しく思わず間違えた結論になる可能性が高くなります。
これは、日常生活ではどのような過ち犯してしまうのでしょうか。


たとえば、面接のときに元気のよく優秀そうな学生がきたとします。そして、その生徒は優秀そうに見えたため会社が雇ったとしますよね。ですけど、それって統計的に見てどうなの?という話になるのです。その人物が優秀さの指標が100種類あるとして、面接では、どの学生か?見た目は?しゃべり方は?などのことしかまったくわかりませんよね。母集団からランダムにデータを取っているようには見えずに明らかに何らかの偏りがあるように見えます。
実際に面接でその学生が優秀に働くかを予測すると約相関係数0.1だそうです。これはちなみに、コイントスしてその学生が優秀かそうでないかと予想するより多少はましくらいのかんじですね。
それよりも、統計的事実に基づく判断(性格診断や知能指数と職種の適正)などからアルゴリズム的に判断するほうが圧倒的に精度があがります。ですから、長期的にその人物が会社に役に立つか判断するときには、専門知識を超つけるか、その人物と会うべきでないというわけですね。


ほかにも、私たちはその人の印象に対してあまりにもサンプルが少ない状況なのにその人物の性格を決め付けてしまう傾向にあります。
ちなみに、ある人物がそのシチュエーションで親切だからといって別のシチュエーションで親切な可能性は相関係数0.1くらいだそうです。
これを複数回、なおかつシチュエーションを変えた場合にどのような反応を示すかを見ないとその人物の性格の推定などほぼ不可能なのです。


ですから、自分が何かを決めけたときに本当にそれは統計学的に偏りのないサンプルなのか?データ量は十分にあるのか?考える必要がありますね。


分散と回帰
たとえば、はじめて行ったお店の料理が非常に美味しい、けど二回目に行くとはじめ以上の喜びを得ることができないという現象をよく耳にしたことのある人はいますか?
また、初対面の印象はすごく最高で、クールだったのに二回目にあってみると最初ほどでは、ないという経験皆さんはお持ちでないでしょうか?
そうなんですこれは、統計的に説明できる現象なのです。
つまり、平均への回帰です。そのお店で出される商品のうち偶然あなたは一番美味しいものを食べて、偶然その日のシェフの調子がよかったというだけの可能性が高いです。つまり、二回目はその最高の料理とできばえを感じることができないため、期待は裏切られるのです。
そのほかにも、有名な行動経済学者のダニエル・カーネマンが軍隊の指導係に心理学的に正しい教育方法は、相手をほめて育てることだ!と教えたときに次のように言う軍人がいたそうです。
「ですけど、彼らは成功したときにほめても次の機会では前回より悪い成績になる。けど、失敗したやつを叱ると次の機会ではうまくやってのけるぞ!」といった軍人がいたそうです。
そう、それは平均への回帰なのです。つまり、成績がたまたま今回はよかったものをほめると次回はその人物の平均に回帰してパフォーマンスは低下して、逆に失敗した人物を叱るとその人物の平均の実力に回帰することによって見た目の成績は向上するというわけですね。


相関関係と因果関係の誤り

人は相関関係があるからといってその現象が、必要以上に因果関係があるように見えてしまいがち。


つまり上記のことがらから私たちが学べることは。
1.できごとはあくまで、母集団のサンプルでしかないこと
2.根本的な帰属の誤りとして、ある人物が短期的に素敵に見えたからといったその人物の評価をするべきでないこと。周辺環境による要因が非常に大きいことを心がけること。
3.パフォーマンスが短期的に高いからといって次回も必要いじょうに期待するべきではない。
4.自分の観測したもの標準偏差(データのちらばり具合)はどの程度のなのか理解すること。
5.正しいデータがほしければ、あらゆる面からその対象の情報を収集する必要性があること。
6.データから原因を探したいなら、ちゃんとデータの分析やらないと本当に正しいものかどうかわからないよ
という感じですね。
まあ、自分の感じたことが妥当なものか毎回疑うのも大変ですので、重要な問題に関してのみ情報に注意を向けるべきですね。