科学的に問題解決力を高める ①


最近世界で「最も美しい問題解決法」という本を読んだのでしょうかいして行きたいと思います。

世界で最も美しい問題解決法 ―賢く生きるための行動経済学、正しく判断するための統計学―
世界で最も美しい問題解決法 ―賢く生きるための行動経済学、正しく判断するための統計学―
青土社

この本の主題として、そもそも人の問題解決能力はIQなどの遺伝的要因にも影響を受けるが、現実においては、統計学、経済学、心理学、経済行動学などを知ることによってもっと世界が生きやすくなるよねーというお話です。
それなら他の本読めばよくね?となるんですが、リチャード・E・リスペットさんは知識は文脈に依存するため、日常生活で活用できるようにするトレーニングが必要だよねとも言っております。
つまり、統計学の知識でも実験のために使うものだと記憶してしまうと日常生活の問題解決で使える知識ではなくなるという問題点を言っております。
記憶の想起は確かに文脈(そのシチュエーション、場所)などに依存するので、確かに合理的だと言えます。


1.人は世界を正しく見ていない?(すべてのことは推測だ)
私たちの見ているものはスキーマ(概念的なもの)に依存していると言えます。つまり、私たちの見て認識する世界は自分の脳の中の記憶と参照されてやっと認識できるということですね。そのため、スキーマから構成されるイメージを活用しがち。たとえば、医者と聞いたら肉体労働をするイメージを持つ人は少ないし、フリーターと聞いてお金持ちな人を連想する人はまずいませんよね。


また、状況とは無意識なものが私たちの意志決定に影響を与えていることも述べています。つまり、ハリケーンの名前が女の名前か男の名前かでハリケーンの死亡者数が変わるように私たちが想定する以上に外部要因によって私たちの行動は決まってしまう性質を意味しています。


他には、人は利用可能性ヒューリスティックというものがございまして、ものごとを決断するときに人は無意識に問題のすり替えを行っているということでございます。
たとえば、
「どの会社に投資を行いますか?」→「A社の社長信用できそうだから、A社に投資しようい」
みたいな人は、難しい問題と出会ったときに問題のすり替えを起こしがちです。
まとめると以下のような内容が述べられております。
1.人はスキーマにもとづいて推測を行い
2.状況やシチュエーションが人の行動に与える影響力は非常に大きい
3.難しい問題を簡単な質問に置き換えてしまいがち


2.人は外部要因によって影響を受けやすい
人の行動原因と推論するときに、人の内的な性格や気質の原因にしがちであることがわかった。つまり、たまたま暑くてイライラしている人物と出会うとその人物はすぐイライラする人物だと評価されがちだと言う事です。急いでいるときは、誰だって人助けなんてできないですし、イライラしていたらなおさらです。
また、人の行動原因はその人物の周辺の人々がどのような行動をしているかが影響を与えているパターンが多いです。(たとえば、職場で禁煙率が60%なら自分もタバコ吸い始める可能性が高くなる。)他には、周辺の人々と争わせたほうが運動分野において高いタイムが計測されやすいとかです。
このことから得られる教訓は以下のとおりです。
1.他人の性格を私たちは環境からの影響を考慮しないで決めてしまうことが多い。
2.自分の行動や他人の行動はその人物の性格よりも環境要因のほうが圧倒的に高い、そのため環境要因を積極的に変えていく必要がある。
ということですね。
本当にその人物の性格を正しく知りたいのであれば、さまざまな文脈(環境による影響の削減)で複数回(少ない回数で相手の性格は正しく測定できる可能性は低い)観察する必要がありますね。


3.人の無意識の有用性
これより、前では人の無意識はどのようなものから影響を受けて間違った決断をしてしまうのかについて話しました。しかし、実際には無意識による思考は非常に有用であるとも言えます。私たちの決断がすべて意識化に上るとしたらそうとうな数の情報量となり、まず情報を処理することができないでしょう。また、プロチェスプレイヤーなどは最終的には自分の直感に頼ることが知られています。チェスのような複雑なゲームでは人の思考は意識化で行うには非常に難しいため、無意識な領域による処理がいいのだといえるのです。さらに人にどのアパートがいいか質問すると、熟考した人よりも直感で決めた人の方が正しい結論に至る可能性が高いのです。


しかし、無意識での処理では人はそれの結果は知ることはできるかもしれませんが、その処理の過程を認知することは非常に難しくなります。ですから、何か行動をしたときになぜそれをしたのか人に聞いても大体は正しい答えは出てこないことが多いのです。


つまり、これらのことから得られる教訓は、
1.私たちが何かの選択をしたときに必要以上に自分がなぜそれをしたのか原因の追求を行わないこと。
2.どうように他人がなぜそれをしたのかを説明するときに必要以上にその原因を信用しないこと
3.直感を使うべきところと論理を使うべきところは、シチュエーションによって異なる明確に分けるべきだ。
4.自分の無意識の性質がどのようなものであるかの理論を知っていれば、その行動をなぜしたのかそしてそれは間違っている可能性があるのか正しく改善できるとも言えます。
そして、リチャードさんはこのように述べています。
「無意識が自分を助けてくれるように、私たちも無意識を助けてやらねばならない」と
では、無意識を活用した問題解決とはどのようなものなのでしょう。
やりかたとしては、
1.難しいと感じる課題は締め切りの大分前に直面しておき、自分の理論で解決できないのであれば一晩寝かせておくのも有用な解決方法になりうる。
2.直感によるアイデアの発想はいいものが生まれる可能性が高いが、論理によって何時間も検証、改善することによってさらに、アイデアに磨きがかかる。
という感じですね。
無意識はその使い方を誤らなければ、かなり有効な武器になりうるということなんですね。